フロアコーティングにはいくつかの種類があり、UVコーティング・ガラスコーティング・シリコンコーティング・ウレタンコーティング・環境配慮型ウレタンコーティング など、それぞれ性能や価格が大きく異なります。
どの種類を選ぶかによって、床の耐久性・光沢・お手入れのしやすさが変わり、仕上がりの印象も大きく違ってきます。
本記事では、フロアコーティングの種類ごとの特徴や相場、メリット・デメリットを比較 しながら、はじめて検討する方でもわかりやすいように解説します。生活スタイルや床材に合ったコーティングを選ぶためのポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
1. フロアコーティングの種類とは?
フロアコーティングをする目的
フロアコーティングとは、床表面に保護膜を形成し、傷や汚れ・劣化を防ぐ施工方法です。
使用するコーティング剤や工法により、主に5種類のフロアコーティング種類があります。それぞれに「耐久性」「光沢(見た目)」「価格」「環境配慮」の点で特徴が分かれます。
近年は、ペットや子育て世帯、新築時、リフォームなどで需要が増えており、生活スタイルに合わせて選ぶことが大切です。
2. 代表的なフロアコーティングの種類と特徴
UVコーティング|耐久性・薬品耐性に優れる万能タイプ
紫外線照射で硬化させる方法で、20〜30年の耐久性が期待できます。
アルコールや次亜塩素酸など薬品にも強く、業務用施設でも採用される信頼性があります。光沢感があり、高級感を求める方におすすめです。
ガラスコーティング|硬度が高く擦り傷に最も強い
JIS規格で鉛筆硬度6H〜9Hと高く、物理的強度はトップクラスです。
微光沢で自然な仕上げになります、落ち着いた雰囲気の床に最適。UVよりもやや費用は抑えめで、最近人気が高まっています。
シリコンコーティング|コストと性能のバランス型
耐久性は10〜20年と十分で、撥水性や防滑性に優れています。
「ペットがいる家庭」「コストを抑えたいが長持ちさせたい方」に特に選ばれています。オールマイティにいろんな床材にと相性がよいです。
ウレタンコーティング(水性)|安価だが耐久性は控えめ
施工費用が最も安く、導入しやすい種類です。
ただし、耐久性は5〜10年と短く、摩耗や薬品に弱いため、短期的な保護や再コーティング前提で選ぶケースに向いています。
環境配慮型ウレタンコーティング|低VOCでエコ+性能も高い
従来の油性ウレタンを水性化した環境配慮型です。
耐久性は一般的な水性ウレタンより高く、VOC排出を抑えた安全性が特徴。子育て世帯や環境意識の高い方に選ばれています。
3. 種類ごとの比較(耐久性・光沢・価格)
フロアコーティングの種類を表にまとめました。自分の個性や現場の状態、床材種類にマッチしたものを選ぶことで満足のいく仕上がりになります。
種類 | 耐久性1 | 光沢2 | 価格相場(㎡あたり) | 特徴 |
---|---|---|---|---|
UVコーティング | 約20〜30年 | 高光沢 | 4,000〜6,000円 | 耐摩耗・耐薬品性ともに高水準。業務用でも使用される信頼性。 |
ガラスコーティング | 約20年前後 | 微光沢 | 3,000〜5,000円 | JIS鉛筆硬度6H〜9Hで物理的強度トップ。自然な仕上がり。 |
シリコンコーティング | 約10〜20年 | 高光沢 | 2,500〜4,000円 | コストと性能のバランス良好。撥水性・滑り止め効果あり。 |
ウレタン(水性) | 約5〜10年 | 高光沢 | 1,500〜2,500円 | 安価で施工しやすいが、耐久性や耐薬品性は低め。 |
環境配慮型ウレタン | 約10〜15年 | 中光沢 | 2,500〜4,000円 | 低VOCで環境や健康に配慮。水性でも耐久性は標準以上。 |
- 耐久年数は複数のフロアコーティング会社のホームページを調査して平均値を記載しました。
- 光沢は艶あり仕様の光沢値です。各コーティングで半艶や艶消しが可能な場合がありあす。
フロアコーティングの耐久性とは?
- 耐久性=年数だけではない
家具などによる擦り傷や摩耗への強さ「物理的特性」とアルコールやしょうゆ、ワインなどによる汚れ・変色への強さ「化学的特性」の両面を含みます。 - 初心者の方はどの性能が生活スタイルに必要かで選ぶのがおすすめ
小さなお子様がいて傷つきが心配なら「擦り傷に強いタイプ」
ペットの粗相などアルコールを使いたいなら「薬品に強いタイプ」
お大人だけ・子供が大きいなら「リーズナブルなタイプ」もありです
4. フロアコーティングと床材との相性
フロアコーティング種類と床材との相性(適合性)は大切です。ポイントは2つあります、塗膜と床表面に密着し剥がれないかどうか、好みの質感に仕上がるかということが肝心です。
最近のマンションや一戸建ての9割位は、オレフィンシートを床材表面に採用したシートフローリングです。2010年以前の住宅なら、薄くスライスした木材を採用した突板フローリングが多いです。
いずれも、注文住宅やリフォームで張り替えされた場合はこの限りではありません。フロアコーティングを検討するときは、必ず自分のフローリング種類を確認するようにしましょう。
比較表|フロアコーティング種類と床材との相性
床材種類 | UVコーティング | ガラスコーティング | シリコンコーティング | ウレタン(水性) | 環境配慮型ウレタン |
---|---|---|---|---|---|
シートフローリング注1 | |||||
突板フローリング | |||||
挽板フローリング | |||||
無垢材(素地仕上げ)注2 | |||||
クッションフロア(CF) | |||||
コメント | 紫外線照射による耐久性がと高光沢が魅力 | 自然な艶感。高硬度な塗膜で優れた耐久性 | 高光沢な仕上がりで万能な油性コーティング | 安価だが一般ワックスを凌駕する耐久性 | 艶消しを推奨。耐久性と環境性の両立がグッド |
- 石目模様やサニタリー仕様はシート素材であっても別対応になります。
- 下地処理や下塗りが必要となります。
特殊な床材などの施工対応
比較表の内容とは異なる見解をもつ業者もいると思われますので、参考までにとどめ、必ず依頼する専門業者に確認しましょう。
シートフローリング
メーカー・モデル別による適合性の違いはありませんが、大理石模様のもの、トイレなどで利用するサニタリー仕様への施工は業者により分かれますので、施工を希望するなら確認しましょう。
突板・挽板フローリング
特殊な加工(WPC加工など)が施されていることがあり、コーティングの密着性に影響することがありますので、注意しましょう。
無垢フローリング
無垢フローリングは表面の処理(仕上げ/フィニッシュ)が主に3種類あります。表にとりあげた素地仕上げ、造膜仕上げ、自然塗料(オイル)仕上げです。造膜仕上げは塗膜のあるもので、挽板と同じように施工可能です。自然塗料仕上げは浸透している塗料を取りのぞく工程が必要になり,施工対応は業者によって分かれます。
古いフローリング
経年により消耗したフローリングは、肉厚のあるフロアコーティングが適しています。UVコーティングや環境配慮型ウレタンが良いチョイスになります。
ポイント解説
- 床材種類の確認
まずは施工対象となる床材の種類を確認しましょう。 - 相性(適合性)とは、「密着性」+「好みの仕上がり質感」
フロアとコーティング塗膜がくっついて離れないのが最重要、マッチングが良くないと剥がれたり、塗りムラが生じることも。さらには、仕上がりの艶感や風合いが自分の理想と一致するかが大事。たとえば、シートフローリングなら元の光沢が艶消しなので、艶感を求めるならUV、控えめな艶ならガラスが個々のユーザーには相性が良いということに。 - 特殊な床材・経年による消耗に注意しよう
特別な下地処理が必要になったり、適合するフロアコーティング種類が制約されることも。 - 必ず施工時に専門業者に確認すること
業者により施工対応が分かれるので、自分の希望を伝えるのは大切ですが、業者の判断も必要です。
5. 艶(光沢)の種類について
フロアコーティングには「艶あり」以外にも、「半艶」「艶消し」が設定されていることがあります。選択肢が広がることで、より好みに合った光沢感でお部屋を演出することができます。
艶消しタイプ(半艶・艶消し)について、最近の傾向や人気の理由、メリット・デメリットを解説しますので参考にしてください。
最近の傾向と人気の理由
- 近年ではマンション・一戸建てを問わずシートフローリングが主流。艶消し仕上げのため、半艶や艶消しと相性が良い。
- 以前は高光沢仕上げが人気だったが、最近は敬遠する傾向が強く、半艶の自然な感じや艶消しのマットな質感がより好まれるようだ。
- 艶消しタイプのフロアコーティングをラインアップする業者が増えた。
艶消しタイプ(半艶・艶消し)のメリットとデメリット
メリット
- 擦り傷や小キズが目立ちにくい
- 落ち着いた雰囲気で床材の質感を損なわない
デメリット
- 艶あり仕上げと比較するとやや滑りやすい場合も
- 業者によっては艶消しタイプの施工が未対応のことがある
光を乱反射する艶消しタイプは、ほんとうに擦り傷が目立たないです。見た目や質感のみならず、イスなどで擦ってしまうことが心配な方にもおすすめです。
半艶や艶消しの光沢感は、画像ではやや判別つきづらいです。業者に施工サンプルを送ってもらい確認するとよいでしょう。残念なことに、ラインアップしていない業者もあるため、依頼前に確認が必要です。
6. フロアコーティングを選ぶときのポイント
価格も大事ですが、この先何年も利用するフロアコーティングですから、長期的な観点で選ぶことが何よりも失敗しない方法です。
選択のポイントは3つあります。
フロアコーティングの選択方法
- 床材種類との相性(適合性)を確認しましょう。
- 自分の家族構成やライフスタイルに対して、耐久性が十分かを検討する。
- 最後に、希望する仕上がりに応じて、光沢(艶あり・半艶・艶消しなど)を選ぶ。
まずは対象のフローリングに適合するフロアコーティングをピックアップして、自分の家族が床に与える負担をイメージしてください。そして最後に好みの艶感に仕上がるものを選びます。
子育て世帯やペットを飼っているご家庭は床を傷つけることも多いでしょう。その場合は耐久性の高いUVやガラスコーティングが候補となります。その逆に、大人だけ・お子様が一定年齢以上の場合はシリコンや環境配慮型ウレタンがコスパに優れていますのでよいかもしれません。
シックハウスや喘息などのアレルギーが気になる方なら、環境配慮型ウレタンは有機溶剤をほぼ含みませんので安心です。
最後の仕上がりですが、同じ「艶あり仕様」のフロアコーティングでも仕上がりの光沢に差があります。また、床材もともとの光沢や性質によっても仕上がりの光沢は異なります。可能なら、依頼する業者に実際に施工する床材と同じもので施工サンプルを作成してもらい、確認しましょう。
ここまでの流れが頭に入っていれば、やみくもに高価なフロアコーティングの契約を迫る業者に対しても、冷静に対処できることでしょう。
7. まとめ
フロアコーティングにはそれぞれ特長があり、耐久性・光沢・価格・環境配慮の観点で選び方が変わります。
はじめて検討する方は、まず種類の違いを理解し、自分の生活スタイルや床材に合ったコーティングを選ぶことが大切です。
- ペットや子供の生活環境に合った種類選びも大切です。詳しく「ペットや子供が安心できるフロアコーティング」をご覧ください。
- フロアコーティング種類ごとに料金相場も異なります。詳しくは「フロアコーティングの種類と選び方」をご覧ください。