シートフローリングはプリント技術で木目模様や質感を再現した床材で、新築や一戸建てで多く使われています。その一方で「本物の木ではないからコーティングしなくてもいい」という声もあります。
しかし実際には、キズもつきますし、水に弱い素材。ガラスコーティングや環境配慮型ウレタン(半艶・艶消し)なら質感を維持したまま、長く床を守る効果が得られます。
本記事では、シートフローリングの構造や弱点を整理し、相性の良いコーティング種類や施工のポイントまでわかりやすく解説します。詳しいご相談や正確な費用は、メールで簡単見積りをご利用いただけますので、お気軽にお問い合わせください。
本記事はシートフローリングに特化した内容です。フローリング全般のコーティング解説はこちら
シートフローリングの構造
シートフローリングの構造
表面には木目模様がプリントされたオレフィンシートが配置される、その直下にはMDF材(中密度繊維板)、さらにその下には集成材が複層に重なっている。
フローリングの種類を大別すると、単層フローリングと複層フローリングにわかれます。シートフローリングの構造を説明する前に、簡単に説明します。
- 単層フローリング:一枚の板からなるフローリング。無垢床のこと
- 複層フローリング:基材に加工木材や集成材を何層にも重ねて接着し、表面に化粧板を配置した床材
複層フローリングは化粧板の種類により、突板フローリング、挽板フローリング、シートフローリングの3タイプがあります。
複層フローリング | 化粧材として利用される素材 |
---|---|
突板フローリング | 天然木を0.3~0.5mm程度のシート状にスライスしたもの |
挽板フローリング | 天然木を2~4mm程度の板状に切り出したもの |
シートフローリング | オレフィンシートに木目模様をプリントしたもの |
シートフローリングは今までのフローリングとまるで違う種類ではなく、構造的には複層フローリングと一緒です。印刷会社のプリント技術により、見事に天然木の模様や質感がシート素材(化粧板)に再現されています。

シートフローリングが新築で採用される理由
現在では、マンション・一戸建ての新築現場で採用されるフローリングの9割はシートフローリングです。理由は、品質の安定性とコストにあります。
天然木を使用する突板などでは、製品ロットごとに若干の色合いの差があり、歩留まりを悪くします。そのため、価格が同じであっても、製品のバラつきの少ないシートフローリングと比較して、コストが高くなります。
実際に私もマンションの工事現場で、色合いが違うということで、不合格となった大量のフローリングを見たことがあります。
シートフローリングのメリット・デメリット
ユーザーにとっての、シートフローリングの良い点、良くない点について解説します。
- 天然木が再現された美しさ
- 優れたダメージ特性
- ワックスレス
- 美しさの持続性
- 水分による膨れなどの変形
- メンテナンス性
シートフローリングは、見事な外観だけではなく、擦り傷や摩耗が生じにくい特性があります。また、ワックスの塗布は推奨されていませんが、塗布する場合は密着力のよい特定のワックス銘柄が指定されていることが多いです。
デメリットは、新品のときには本物感のある風合いであっても、経年使用により徐々にその魅力が薄れがちです。弱点は水で、フローリングの隙間から入り込むと、膨れたり、シワがよるような変形が起きることがあります。またシート素材は高密着タイプのワックスであっても、素材とのなじみがよくないため、美観の再生を一般ユーザーが簡単に行うということが難しいかもしれません。
シート素材と相性のよいコーティングを選ぶポイント

シートフローリングは一般ユーザーがワックス類を塗布するのは、難易度がやや高いです。しかし、専門の施工業者ならフロアコーティングは可能ですし、床保護や美観向上のメリットを得ることができます。プロの業者なら、ワックスと馴染みのよくないシート素材であっても、下地処理などの施工技術により、美しく仕上げることができます。
フロアコーティング種類による相性
フロアコーティング種類による相性があります。UV、ガラス、シリコン、ウレタンが代表的なフロアコーティングの種類ですが、当社のおすすめは、ガラスコーティングと環境配慮型ウレタンコーティングです。理由を以下に説明します。
1.コーティング剤の溶剤タイプ
施工完了後に塗膜が剥がれたりする原因は、異物や油脂類が付着したまま施工するというような問題施工を除けば、対象素材とコーティング剤の性質によります。
シート素材そのものではなく製造時に施された保護膜(クリア塗装)がポイントです。シートフローリングでは弱溶剤型の塗料が施されていて、強溶剤型のフロアコーティングとの相性はよくありません。
2.光沢値のマッチング
美観でいうと、主観的になりますがシートフローリングでは、あまり光沢のないフロアコーティングを推奨します。当社のグロスチェッカー(光沢を数値化する計測器)ではシートフローリングの光沢値はメーカー銘柄をとわず5~10ポイント前後です。これはかなり低い数値で艶消し仕様といえます。この艶消し具合が、天然木の見た目を実現している重要な要素ですから、あまり光沢値を上げてしまうと風合いが別物になってしまいます。
シートフローリングにおすすめのフロアコーティング
環境配慮型ウレタンコーティング

水性に分類されますが、微量の弱溶剤を含むウレタンコーティングです。環境先進国である欧州で開発された、従来の油性ウレタンを水性化した塗料です。優れた環境性と、旧タイプの水性では成しえなかった、耐久性があります。当社では、グロス(艶あり)、セミグロス(半艶)、マット(艶けし)の3種の光沢仕様で対応しております。価格は、ガラスやUVコーティングと比べるとリーズナブルです。
ガラスコーティング

シリカからなる無機系塗料を使用する唯一のフロアコーティング種類です。JIS規格の鉛筆硬度で(6H以上)の硬い塗膜は傷や摩耗の抑止に役立ちます。また硬いといっても同時に撓みに対する追従性があり、割れることはありません。光沢感はやや控えめな自然艶です。特殊な塗料ですから価格は高くなりがちですが、当社では塗料原価分だけ高いだけです、プレミアム価格はのせておりません。相場よりもお安くなっております。
UVコーティング
紫外線を照射して塗膜硬化を促進させる工法で、耐久性が高く、ピカピカとした光沢感から人気の種類ですが、当社では推奨しておりません。理由としては、シートフローリングとの相性、揮発臭の強さが挙げられます。
フローリングにフロアコーティングは必要?

シートフローリングは、従来の突板フローリングに比べて表面の傷には比較的強いという特長があります。そのため「コーティングしなくても大丈夫では?」と思う方も少なくありません。
しかし一方で、シートには水に弱いという弱点があります。シート素材の下に配置された加工木材(MDF・中密度繊維版)は、水分が入り込むと膨れなどの原因となりやすく、人工素材ゆえに新築時から経年使用で美観の衰えが目立ちやすいのも事実です。
そこでフロアコーティングを施すことで、次のようなメリットが得られます。
- 安心して水拭きできる → 日常の清掃がラクになり、清潔な床を長く保てる
- 消耗・劣化を抑制できる → 表面の摩耗や光沢の変化を防ぎ、新築時の美しさを維持しやすい
特にガラスコーティングなら自然な質感を損なわず高耐久な保護膜を形成でき、環境配慮型ウレタン(半艶・艶消し)ならツヤを抑えながら保護効果を得られます。
つまり「シートだから不要」ではなく、シートだからこそ保護しておく価値があるのです。見た目の美しさを長く維持し、将来的な張り替えリスクを減らすためにも、コーティングは有効な選択肢といえるでしょう。
シートフローリングへの施工について

もはや昔話ですが、シートフローリングへのコーティングは業者の対応が不十分だったため、施工不良などのリスクが高かったことがあります。出始めの頃ですから2010年頃のことです。現在では主流の床材というこもあり、どの業者でも万全な対策がなされていますので、安心してご依頼いただけます。
シートフローリングには、溶剤による適合性と水に弱い特性がありますが、初期の頃は業者によっては不勉強により、上手く施工できないという事態があったのです。
まとめ
シートフローリングは「傷に強いからコーティング不要」と思われがちですが、実際には水や経年消耗に弱い床材です。フロアコーティングを行うことで、安心して水拭きできる清潔さと、新築時の美しさを長く保つことが可能になります。
どの種類が最適かは床材の状態やご家庭のライフスタイルによって異なります。当社では、お客様の状況に合わせたご提案を行っておりますので、まずはお気軽にメールで簡単見積りをご利用ください。図面や間取りを送っていただくだけで、正確な費用と最適なプランをご案内いたします。
当社は、東京・神奈川・埼玉・千葉など首都圏を中心に出張施工しております。
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