リフォームすることを前提として東京都港区に中古マンションを購入されたお客様よりフロアコーティングのご依頼を受けました。とても程度のよい物件でしたが、残念なことに新築時に施されたと思われるUVフロアコーティングの一部がペロリと剥がれてしまっています。他の部分はおおむね良好な光沢感が保たれているだけに惜しい感じがします。
今回は現場でのフロアコーティング塗膜の修復方法の紹介と共に、塗膜が剥がれてしまう原因についてお話します。当社が誇る腕利きのフロアコーティング職人がこのひどく剥がれてしまった部分をキレイに修復しますので、ぜひ最後までご覧ください。
フロアコーティングの剥がれ補修
まずは、下の写真をご覧ください。
- 画像(左):中央の板に剥がれがあります。白く見える部分が剥がれたところです。
- 画像(中):マスキングテープで囲った内側の塗膜を全て取り除きました。
- 画像(右):処置した部分のみコーティングしました。



実際には、かなりの労力とデリケートな作業を強いられますが、上手く施工することができました。このように部分補修をしてから、全体をコーティングします。
フロアコーティングが剥がれる理由
フロアコーティングがこのように大きく剥がれることは滅多にないことではありますが、このようなレアケースも実際にはあります。以下にその原因について簡単に解説いたします。
密着不良
密着不良とは床のクリーニングが不十分な場合に起こる施工不良です。床に油分や洗剤が付いていたりすると塗膜硬化後であっても剥がれることがあります。ただし、この場合何年も経ってから起こるということはほとんどありません。
膨張率の問題
今回のケースはフローリングと塗膜の膨張率の差によるものと考えられます。膨張率とは床が湾曲したときに生じるフローリングとコーティング塗膜の物理的変化の違いのことです。フローリング撓ったときにコーティング塗膜もそれに追従するように撓るとよいのですが、そうでない場合は塗膜とフローリングの間に空間が生じます。
実際に今回の現場では他にもいくつか小さなものではありますが、塗膜内部にマメのような空胞が生じていました。それが破れると剥がれになりますし、少しでも剥がれが生じるとどんどん広がってきます。
コーティングは適切な塗膜の厚さが重要
床を覆う塗膜が、硬いほど・厚みがあるほど丈夫で耐久性があると思われるかもしれませんが、実際は、塗料の特性に応じて、適切に扱う事が大切です。

樹脂ワックスのように柔らかい塗膜よりも、むしろUVフロアコーティングのように硬度のある肉厚な塗膜で、このようにペロリと剥がれる現象が起きます。
UVフロアコーティングで一般的に使用される塗料は油性ウレタン塗料です。石油系の有機溶剤が含まれるため経年による塗膜の変質が不具合をまねきます。
塗料は成分の調整により対象素材へ定着するように設計されています。ところが施工の際に厚塗りしてしまったりすると不具合の可能性が高まります。
剥がれの中心部分は塗膜が厚く取り除けたのですが、剥がれの生じていない部分は塗膜が薄いため刃物が塗膜と床材表面の間に入らず研磨するしかなかったです。このことからも厚塗りが剥がれの原因だったことが推測されます。
UVフロアコーティングは推奨できないのか

フロアコーティング業界で定番のUVコーティングは油性ウレタン塗料に紫外線に反応する触媒を配合したものです。耐久性があり、光沢感が強いのが特徴です。
当社では現在、UVを推奨しておりません。それはUVに問題があるというよりも、他にも魅力のあるフロアコーティングがあるからです。
最近主流のシートフローリングなら、UV以上の塗膜硬度があり、自然な光沢感のガラスコーティングがとても相性がよいです。詳しくはこちらの記事をご覧ください。ガラスコーティングとは?特徴とメリット・デメリットを徹底解説
中古の住宅や入居している住宅の場合は、環境配慮型ウレタンコーティングがおすすめです。微量の有機溶剤を含みますが、水性に分類されます。油性塗料に近い耐久性があり、なおかつ水性ならではの安全性があります。当社ではフロアプロテクトAPとして、グロス・セミグロス・マットの3種類の光沢仕様で展開しております。少しくらい消耗した床でも、問題なく密着し美観を回復します。
仕上がりの完成度とまとめ

最終的な仕上がりの画像です。
剥がれ補修部分を除いては基本的にUVコーティング塗膜の上から、重ね塗りしています。
画像の中ほどの左側が補修したところですが、まったくわからないですね。
大変うまく仕上がり、新しいオーナー様にも満足いただきました。