最近ではDIYフロアコーティングにトライされる方も増えているようです。そこで本記事では、自分で実践される人向けに、作業手順や注意点を専門家視点から解説します。
当社には、フロアコーティングを自己流で塗ってみたけど上手くいかず、手直しを依頼される方がときどきいます。プロ並みに美しく仕上げる重要ポイントは、下地処理、道具、塗り方、作業環境などがあります。失敗をすると取り返しのつかないことにもなりかねませんので、リスクについてもお話します。
安易に始めるのはトラブルの元になります、フロアコーティングをDIYで実践したい方は、先ず本記事をご覧ください。

コーティング剤・塗装道具などの準備

ホームセンターや通販サイトなどで、すべて購入することができます。塗装に使用する、モップや刷毛は塗料に応じて選びましょう。たいていは取り扱い方法に推奨の塗装道具が記されています・

用意するもの
  • コーティング剤:簡易的なモノから、本格的なプロが使用するものまであります
  • 塗布道具:刷毛、ハンディコーター、モップなど塗料に合うものをチョイス
  • トレイ:コーティング剤を入れる器
  • タオル:複数枚を用意するよいでしょう
  • バケツ:クリーニングに使用
  • クリーナー:中性洗剤(台所用で代行可能)
  • マスキングテープ:塗らないところに貼ります
  • 粘着ローラー:あると便利。塗装直前の使用で異物混入が防げます

DIYコーティングの標準的な工程

コーティング剤により多少違いがありますが、標準的には作業の流れは以下の通りです。

1
施工範囲を整える

家具等を移動し施工範囲に何もない状態にします。

2
清掃

掃除機で除塵し、洗剤で希釈したクリーナー液で拭いてから水拭きする。

3
養生

マスキングテープを巾木や塗らないエリアとの境界に貼る。

4
塗装

床面の乾燥と清掃状況を確認してから塗装する。

5
乾燥

窓を開け換気する。塗料の使用方法に記載された時間を守ること。

6
確認して家具を戻す

乾燥を確認したら、家具を戻し完了です。

DIY実践者向けコーティング剤の選び方

挽板フローリングのコーティング後
こんなにも美しく仕上がれば最高ですね

インターネットを検索すると、業者向けの塗料まで一部には購入可能ですが、そこにはリスクもあります。知った上で購入するのなら自己責任ですが、中には「一般向け」というトーンで、プロでも、ある程度以上の経験がないと難しい油性塗料が売られていることもあります。知らないうちにリスクの高いコーティング剤を選ぶことのないよう注意ください。
また、床材との適合性も重要です。合わない組合せでは早期に剥がれてしまったり、汚れの原因になることもあります。

塗料タイプごとのリスク

塗料タイプ特徴DIYでの主なリスク
水性ウレタン施工が比較的簡単。失敗しても剥がしやすい。(高密着タイプもある)塗りムラ。下地処理不足による剥がれ
油性ウレタン高い光沢、耐久性強い揮発臭(VOC)・塗装技術を要する・失敗時の補修がほぼ不可能
シリコン滑り防止性・耐久性下地処理不足による剥がれ・失敗時の補修が困難
ガラス高硬度・高耐久不均一塗装による塗膜形成不良。失敗時の補修が困難
自然塗料オイルや植物性ワックス。含浸性不適合な床材への使用でベタベタした仕上がりに
カラー塗料全般水性・油性の床用ニスを含む、色のついた塗料全て色の濃淡が発生する

床材との適合性

床材推奨される塗料タイプ注意点
シートフローリング水性ウレタン(高密着タイプ)・ガラス厚塗りは剥がれの原因になる。
突板(複合)フローリング水性ウレタン・ガラス消耗している床は柔軟性のある水性ウレタンがベター。
挽板(複合)フローリング水性ウレタン・ガラス光沢値の高い床は塗り筋に注意。
無垢フローリング(素地仕上げ)自然塗料吸水性が高いため他塗料はムラになりやすい。
無垢フローリング(オイル仕上げ)自然塗料他塗料は密着不足になる可能性が高い。
無垢フローリング(造膜仕上げ)水性ウレタン・ガラス塗膜タイプにより性質が異なる。少面積で密着テストを実施すること

自分の床材種類がわからない場合は、不動産会社や住宅メーカーの担当者に聞くとよいでしょう。また、床材との適合性には例外も考えられますので、大きい範囲を塗り始める前に、手のひら程度の小面積を塗装して乾燥後に剥がれないかチェックする「密着テスト」の実施をおすすめします。

DIYフロアコーティングのポイント

diyでコーティングを行う人
ポイントをおさえて成功しましょう!

フロアコーティングはフローリングの表面に保護膜を形成する施工です。ある程度均一に塗らないと、ムラになったり、きれいな塗膜が形成しません。また、事前の清掃が不十分でゴミやホコリ、脂溶性の汚れが付着していると床と塗膜が密着せず、剥がれてくることもありますので以下のポイントに注意して作業しましょう。

上手に塗るポイント
  • 塗装道具・コーティング剤にはこだわる
  • 事前清掃ではしっかりとゴミを取り除く
  • 塗る時は窓を閉める。塗布後に開ける
  • モップ捌きは一連の動きでスムーズに(途中で止めない)
  • 気温15~25℃・湿度50~70%の穏やかに晴れ渡った日に塗るべし!

塗装道具・塗料について

自分でフロアコーティングしたけれども上手くいかなった人の中には、塗装道具が貧弱だったということがります。床を清掃するフローリングワイパーのような口径の細い接手タイプのものだと、力がうまく伝わらないこともあります。塗る道具は、多少の出費にはなりますが品質の高い製品を選びましょう。

塗り方と事前の清掃についを

塗布作業の前にしっかりとクリーニングを行い、ゴミや埃などを取り除いておかないと塗膜の中に封じ込めてしまうことになります。床面だけではなく、テーブルの上のゴミなども作業中に舞い降りてくることがありますので気を付けましょう。

塗装は、一般の方が想像する以上に早く固まりはじめますので、モップでの塗布作業の途中で動きを止めてしまうだけで止め跡ができることもあります。一連の流れで、塗装道具の幅の4分の1ほど重ねながら、一筆書きのように動かしましょう。

間違えがちな換気方法

コーティング完了後に換気するのは推奨しますが、塗装中は直接風が床面に当たらないようにしてください。基本的にはエアコンは一時的に切ってください。窓も高い位置にあるものは開けておいてよいですが、掃き出し窓は必ず閉めましょう。
風が塗布した直後の塗膜に当たると瞬時に表面だけが乾きます、乾いた部分は折り返しで塗装が重なったときに内部で剥がれてしまうのです。塗り筋や塗りムラの原因になります。

最適な条件のときに塗ればよい

気温が高すぎても、低すぎてもコーティング施工の難易度が上がります。フロアコーティングの施工に最適な環境は、気温20℃前後、湿度60%前後です。気温が5℃を下回ると塗膜の硬化乾燥が極めて遅くなり、その間に、埃などが舞い降りてざらついた仕上がりになることがあります。気温が30℃以上に上昇すると、今度は極端に硬化乾燥が早くなり塗り筋や塗りムラが出やすくなります。湿度が極端に高いときも、塗料種類によっては塗膜形成に問題が生じることがあります。

プロならどんな条件でも一定以上の仕上がりが求められますが、一般の方なら、条件の悪い日はパスして良い条件のときに作業するのがよいでしょう。

まとめ|DIYかプロかを決定するポイント