八王子市は小安町に新しく建てられた素敵なマンション。駅からも近くて利便性のよさげな立地になります。購入されたO様は、当社のホームページを見て好印象をもってくれたようです。見積りフォームにご本人が記入された文章をそのまま記します。
「御社のホームページを拝見し、プロフェッショナルで真摯にご対応頂けそうな印象を持ちぜひお願いしたいと思いました。」
もちろん、いつも施工は真摯に取り組んでいますが、このように言っていただくと失敗できないですよね。でも、やっちゃうんですね、こんな時に限って。

入居する前にやっておきたいコーティング

マンション販売会社の奨めるオプションのコーティングもあったようですが、金額が高いわりに施工内容が今一つ。専門業者のコーティングと比較してやや疑問に感じたとのことです。

ご依頼の内容は以下の通りです。

  • LDK、廊下、洋室のフロアコーティング
  • トイレ、洗面化粧室のクッションフロアコーティング
  • 浴室、洗面台、キッチンの水周りコーティング

今回のコーティングはフローリングが現在主流のシートフローリングが対象です。そのため、相性の良いガラスコーティングのフロアガラスSIをお勧めしてO様に同意いただきました。シートの化粧板にも密着性がよく、薄膜ですが高硬度なガラス質の塗膜を形成します。それにより擦り傷や摩耗、シミ汚れを防止する効果に優れています。

他にはトイレ、洗面化粧室の床にも同様のコーティングを施工します。材質はクッションフロア(CFと略されることが多い)です。高硬度な塗膜ですが素材への追従性は担保されています。クッションフロアのような柔軟な素材へ塗布しても割れたりすることはないのです。

また、水周り3点パックもご注文いただきました。浴室、洗面化粧台、キッチンを対象に汚れやカビ防止に有効なコーティングを実施します。さまざまな部位、素材が対象になりますので数種類のコーティング剤を使用しますがメインとなるのは、こちらもガラス塗料です。

洗面室のクッションフロア
湿気や水はねで汚れやすい洗面室のフロアもコーティングでガード
キッチンのコーティング
新品のシンクも水垢を落としてから水周りコーティングします。

職人の腕の見せ所

当日は定刻に現場到着し、資器材を搬入してから施工をいつもとおり開始しました。新築とはいえ、現場によっては微細な傷があったり、汚れが残っていたりします。私たちコーティング業者としては、それらをどれだけキレイに磨いたり、補修したりするということが腕の見せ所ともいえます。コーティングを塗布する前に下準備、「下地調整」が重要なのです。

今回はとても少なかったですが、しっかりとキレイに清掃し、アルコールで拭き上げて脱脂・除菌しました。塗布する直前には粘着ローラーを往復して清掃後に空中から舞い降りてくるホコリを除去します。清潔な床をつくるとコーティングの乗りも違ってくる気がします。ほぼ塗り斑のない仕上がりを実現し、お客様にも満足いただきました。ところが後日…。

フローリングの部屋
【Before】施工前の洋室フローリングです。
ガラスコーティング後のシートフローリング
【After】まだ完全には乾燥していません。もう少し落ち着いた艶感になります。

フロアコーティングが剥がれた原因は!?

無事に施工が完了し、お客様に確認いただきお支払いを頂きました。「今回もいい仕事をしたな」なんて自惚れていたところに事件発生です。

O様から写真つきのメールを頂いたのですが、確認すると一部(4センチ四方)位の範囲でコーティング塗膜が剥げています。塗り忘れたのではなく、塗膜が白くなっているところを拭いたら、このようになったとのこと。

フロアコーティングの剥がれ
4センチ四方位の塗膜剥離が発生!

実はこの現象は、一言でいうと「硬化不良」なんです。ガラスコーティング塗料にはアルコールが含まれているのですが、アルコールが何らかの条件で塗膜からスパッと揮発しないと、均一な塗膜を形成しません。換気状況によっては空気より重いアルコール蒸気が床に近い低いところに停滞することで硬化乾燥に影響が出たりします。また施工のエラーの可能性も否定できません。すなわち塗りが厚すぎたり、施工対象に水分が含まれていたりすると、やはり塗膜形成に影響がでることがあります。

原因として考えられることは

以前、4~5年前でしょうか続けて2度ほどこのような硬化不良が発生しました。それからは、塗料濃度、塗り方、現場の換気などの対策を講じておりました。それが功を奏したようで、ほとんどトラブルなくきておりました。(厳密にいうつ1件だけ、クローゼットの中の壁際に発生したということがありました。)今回も当時対策したとおりに施工していたつもりですが、油断があったのかもしれません。

剥がれたところは位置的に空気が通り抜けにくいところなので、アルコール蒸気が滞留しがちな場所でした。それに加え、塗りが重なり塗膜が少々厚くなっていたのが原因でないかと思います。

迅速にご訪問の上、手直ししました

O様にはすぐにご返信し、確認と補修のためご訪問のアポイントをいただきました。現地で確認したところ上述した現象でしたので、一通りご説明の上、補修作業を行いました。

補修後の枠で囲ったフロア
枠内が補修した部分です。

手直し自体は今回のように数センチのものであれば、さほど難しくありません。基本的にはサンドペーパーで均してから、ガラスコーティング剤を再塗布する感じです。O様にはお出かけ前のお忙しい時間に大変ご迷惑おかけしました。

開き直るわけではありませんが、現場での施工作業は不測の事態が発生することがあります。工場のような製品を製造するのに最適化された環境で行う作業とは異なるのです。
今回のお話がフロアコーティングを検討中の方の参考になれば幸いです。