最新のフロアコーティングは、フローリングに美しさと床保護効果をもたらす理想的な選択肢として注目されています。床は日常的な歩行や家具の移動などによる摩耗がつきものですが、コーティングを取り入れることで、長期間にわたり美しい状態を維持することが可能となります。
美観の向上だけでなく、床保護効果、長期の耐久性を兼ね備えた最新のコーティングは、住環境における重要な役割を果たします。最新のフロアコーティングの実力を従来のものとの比較も交え、この記事では詳しく紹介していきます。
フロアコーティング技術の進化とは
スマートフォンのようなハイテク機器では最新モデルが市場に投入されるたびに、その技術進化が問われますが、フロアコーティングの技術進化はあまり取沙汰されることがありません。ところが、フロアコーティングに使用される塗料も初期のものと比較すると、かなり性能が良くなっています。それは技術的な製品開発の恩恵であり技術進化といえます。その背景としては、ユーザーの要望、VOC(揮発性有機化合物)の規制、そして我々、フロアコーティング業者の「こうしてほしい、ああしてほしい、」といったメーカーへの要求が反映されています。
フロアコーティングの利点
フロアコーティングは美観の向上と床保護を目的としたコーティング剤を専門業者が施工するプロフェッショナル・サービスです。従来は床ワックスを同じような目的で利用していましたが、ワックスでは数か月ごとに塗り替える必要性があったのに対してフロアコーティングは数年から数十年という長期の耐久性があります。
塗料の樹脂含有量や樹脂の種類の違いによりコーティング剤とワックスでは耐久性にかなりの違いがあるのです。頻繁に塗り替える必要のないフロアコーティングは、定期的なワックス掛けの労苦から解放され、フローリングを良い状態で長く利用することができます。結果として、多大な費用や時間を奪うフローリング張替えを遅らせることができます。
フロアコーティング技術の最新動向
初期のフロアコーティングは実は一般的なワックスとあまり変わらないものでした。20年以上前のことです。有効成分である樹脂の含有量はワックスよりも多いものの、樹脂を水にエマルジョン化といって乳化させる方法で作られた製品です。これだと、塗膜の強度が不十分なため、油性塗料を使用したコーティングに割と早い段階で取って代わりました。いまでもよく使用されるUVコーティングやシリコンコーティングは当時から人気のコーティングです。
フロアコーティングの技術開発において、環境への配慮という観点は非常に大きな要素です。日本ではホルムアルデヒドの放散量に対する規制があり、基準を満たさないと使用が制限されます。また、世界各国にVOC(揮発性有機化合物)に関する規制があります。たいていの安全基準はホルムアルデヒド単体ではなく複数の揮発性有機化合物が対象となりますので、日本よりも厳格な規制といえます。これらの安全基準を満たすため塗料は無溶剤化、つまり水性化のプロセスを余儀なくされました。油性ウレタン塗料はあらゆる塗料分野で最もよく使用されるものでしたが、EU圏や北米のほとんどの地域では、現場施工では使用できなくなりました。
現在では水性塗料がスタンダードといえます。従来の水性塗料はどちらかというと、ホビーやDIYを目的に一般ユーザーが手軽に使用できるものという立ち位置でしたが今ではそうではありません。同じ水性塗料でもホビーやDIY向けのものとは、格段に性能の高い製品が開発されています。
水性塗料ではありませんが、常温ガラス塗料も環境性と性能が両立したコーティング剤です。フロアコーティングにおいては、油性ウレタン塗料を使用するUVコーティングを上回る人気のコーティングになっています。ポイントは石油系溶剤ではなくアルコール系溶剤の塗料というところにあります。揮発性のツンとくるシンナー臭がなく、私たち施工業者にとっても身体への負担の少ないコーティング剤です。性能的には鉛筆硬度で6H~9Hという非常に固い塗膜を形成し、擦り傷や摩耗を防止する性能にとても優れています。
美しさと耐久性を両立するフロアコーティングの重要性
フロアコーティングはクリアな塗膜により、フローリングの光沢値を向上させ見た目を美しくするのと同時に保護効果を付与します。使用するコーティング剤の種類により、光沢の変化や保護性能が違います。お好みの艶感、必要な床保護効果を兼ね備えたフロアコーティングを実施することでフローリングを、良い状態に保ちながら長く利用することが可能になります。
最近のフローリングではオレフィンシートに模様を印刷したシートフローリングが主流となっています。このようなタイプの床材は一般のユーザーが自身でワックスをキレイに塗布することが難しく、プロフェッショナルによるコーティングがますます重要になってきています。
理想的なフロアコーティング選択のポイント
マイホームにとっての理想のフロアコーティングは、他のユーザーにとっての理想とは異なることがあります。なぜなら、フローリングの種類により相性のよいフロアコーティング、そうでない組み合わせというものがあるからです。
ユーザー各自の主観も左右します。フロアコーティングには高光沢なものや微光沢なもの、さらには半艶や艶消しタイプのものなどがあります。
予算というのも考慮しなくてはありません。概していうと強度の高いフロアコーティングの方が価格は高くなります。やんちゃ盛りのお子様やペットのいるご家庭では高価でも強度の高いフロアコーティングを選択したほうが、結果として安く済むと思いますが、ご夫婦など大人二人の世帯ならワンランク強度を落としたコーティングがリーズナブルかもしれません。
フロアコーティングの実施する最も理想的なタイミングは新築時の入居前ですが、中古住宅へ入居する前、あるいは、入居してからでも施工可能です。床の消耗度や汚れ方等もフロアコーティングの選択に影響があります。入居してからの場合は家具家財を移動しながらコーティングすることになりますので速乾性が求められることになります。
理想的なフロアコーティングの選択には様々な要素が影響しますので、ぜひ、ご興味のある方はご相談ください。
フロアコーティングの施工工程
フロアコーティングの施工においては、スキルや経験が豊富な上に、妥協をしないことが求められます。
現場で行う塗装ですから、気温や湿度が一定ではありません。施工対象の床材も多様です。また必ずしも新品未使用のフローリングが対象となるわけではありませんので、その状態により事前に適切なクリーニング等の処置が必要です。
標準的な施工工程は新品、使用済みを問わず、下地調整を行い、その後にコーティングを塗布します。下地調整では通常、洗浄クリーニング、アルコール剤による脱脂と除菌、その他、研磨作業、傷補修や着色を行うこともあります。フロアコーティングの作業では異物が混入することを徹底的に避けなくてはなりません。そのため一見きれいな新築住宅の床であっても、掃除機や粘着ローラー、除塵パッド等を使用したホコリ取りを作業中に幾度も実施します。ホコリは空中を漂っていますので一度除塵しても、時間が経つとまた床へ舞い降りてくるのです。とくにコーティングの直前には、掃除機がけをしてから粘着ローラーを使って塗膜へのチリやホコリ、毛髪などの混入を防止します。
コーティングは塗料種類により、フラットモップ、ハンディコーター、刷毛、ローラーなどを使用します。無垢床のように吸い込み量の多い素材は刷毛やローラーが機能しますが、シートフローリングのように、やや塗料を弾くような素材はマイクロファイバーが装着された平らな面のあるフラットモップや、その小型版であるハンディコーターがよく使用されます。塗布作業においては、とにかく塗り斑を作らずに、均一に適切な量を塗布することが肝心です。気温や湿度、フローリングの種類や状態により微妙に調整しなくてはなりません。
換気もコーティングの施工では重要です。ときどき、窓を全開にして作業している業者を見かけますが、その方法だと空気は部屋の隅々まで循環しません。窓の左右を少しだけ開けるのが基本です。ただし、天候や気温にもよります。例えばコーティングを塗布する作業では風が塗布面に当たってほしくありません、そのため、窓を締めたり開けたりして室内の空気の流れをコントロールしながら施工します。