お眼鏡にかなった中古住宅を購入したなら、ぜひ、入居前にフロアコーティングをご検討ください。フローリングは住宅の中でも、最もダメージを受けやすい部分です。イス等の家具で擦れたり、強い日差しが当たることで消耗します。また、お子様やペットのいたずらでも傷がついたり落とし難い汚れがつくことがあるのです。フロアコーティングを施すことで、傷や汚れからフローリングを守り、長期間本来の美しさを保つことができます。新しい生活を始める前に、プロの手によるフロアコーティングを取り入れることで、マイホームにさらなる価値をプラスします。フロアコーティングの効果や、おすすめのコーティング種類についてを深堀し、快適な住環境を手に入れるための知識を提供します。
コーティングとワックスの違い
どちらもフローリングに塗布するものということでは同様ですが、目的が異なります。ワックスは基本的にフローリングに艶を与えて美観効果を高めるものです。一方のコーティングはフローリングを傷や汚れから守るものです。もちろんワックスだって多少の保護効果はありますし、コーティングも塗布すると光沢値が上がりピカピカとキレイに輝きます。また、どちらも半艶や艶消しタイプがありますので、ユーザーの希望する光沢感で施工することが可能です。
目的の違いは仕上がりの塗膜強度にあらわれます。コーティングの耐久性や耐薬品性は一般的にワックスよりも高いレベルに設定されています。一方、ワックスにはそこまでの強度がありません。ワックスが最も使用される商業ビルや店舗では、かなり頻繁にワックスが塗り替えられます。そのような現場では、あまり強度が求められません。塗り替え時には専用の剥離剤を使用しますが、この薬剤に素早く反応し溶解する特性が望まれます。コーティングはワックスの剥離剤では溶解しない塗膜物性を有します。
一般家庭での使用において、フロアコーティングは種類にもよりますが大体10年前後は使用することが出来ます。ワックスの場合は高性能なものであっても6か月程度です。費用はプロの業者に依頼した場合はワックスは30㎡で3万円~6万円、フロアコーティングは同条件で10万円~15万円がおおよその相場です。
フロアコーティングの塗膜効果というメリット
フロアコーティングがフローリングにとって何がよいのかというと、塗膜効果です。物で擦ったり、液体をこぼしても、フローリングにはコーティングの塗膜で覆われていますので、直接的なダメージから逃れることができます。たとえば、イスの脚で擦っても塗膜が擦られることでフローリングは無傷でいられることがあります。コーティング塗膜が身代わりとなって傷を負うわけですが、最新の進化したフロアコーティングでは、硬度の高い塗膜を実現しているため傷がつきにくくなっています。
一般的にコーティング塗膜はスクラッチ傷のような物理的な損傷のみならず、耐薬品性、耐汚染性にも優れた塗膜物性を持ちます。
既存フローリングへの施工
フロアコーティングの施工はプロの業者であっても、簡単なものではありません。経験値やスキルを要しますし、集中力や注意深さが試されます。フローリングには様々な構造や化粧板(表面の素材)、仕上(表面の塗装処理)があり、一筋縄では対応できません。中古の住宅なら、消耗度合い、汚れ具合、ワックス塗布の有無など、個別の状況に対応する必要があります。
とくに中古住宅の既存フローリングへコーティングする場合に重要なのが、クリーニングです。ワックスが塗られている場合は剥離剤を使用してキレイに取り除く必要があります。一般家庭でよく利用されるフロア用クリーナーにはパラフィンワックスという「ろう」が含まれていることが少なくありません。このような物質や皮脂、油膜などの脂溶性物質はチリ・ホコリを抱き込みひどく汚れて見えることもありますが、清掃状況の行き届いている住居では一見キレイに見えることもあります。当社では念には念を入れて、性能の良い洗剤を用いて徹底した洗浄クリーニングを行います。
床面の不純物がすべて除去されたのを確認した後にコーティング作業に進みます。古いフローリングではクラックといって、木繊維に沿ってひび割れが生じていることがあります。そのような場合は、ふつうにコーティング剤を塗布しても吸収されてしまいますので下地剤を塗布するなどの対応を取ります。
おおよそ住宅が建てられた年代により、使われているフローリングのタイプがわかります。もちろん例外もありますので、その見極めや対処方法が問われます。新築のフロアコーティングと比べ、大変なことも多いですが、ビフォア・アフターの変化も大きいのでやりがいのある仕事です。
古いフローリングに適したフロアコーティングの選び方
古い使用歴のあるフローリングといっても、その状態はさまざまです。建築されて1~3年程度の築浅物件なら新築フローリングと差ほど状態が変わらないでしょう。しかし5年程も経過すると、使用による消耗や汚れ、経年劣化の影響が出てきます。
新築時のフロアコーティングについては、また別の機会に説明することにして、ここでは築5年以上経過した使用歴のあるフローリングに適したコーティングについて説明いたします。ちなみにコーティング可能なフローリングの限界年数などはありません。状態にもよりますが、当社では築25年以上経過したフローリングのコーティングも多数施工してきております。
経年劣化したフローリングの実際
フローリングは使用することで、表面に微細な傷が多数生じます。床ですから誤って重い物を落とすこともあるでしょうし、そうでなくとも日々の生活により徐々に消耗します。全体的にくすんだ色合いになりますし、部分部分によりそのくすみ度合いが異なりますので、何となくクリーンに見えません。(表面に薄くスライスした木材を貼った突板フローリングでも、オレフィンシートが貼られたシートフローリングでも同様です。)フロアコーティングを選ぶ際には、このようなコンディションが改善するようなコーティングが望ましいです。
フロアコーティングによる”くすみ”のカバーリング効果
フローリングのくすんだ感じやムラが、仕上がりに反映されない(隠蔽される)コーティングというと、ウレタンコーティングが最適です。塗膜が超高硬度であっても薄膜なガラスコーティングやそれに近しい性質のシリコンコーティングは一般的に不向きです。塗膜が肉厚なUVウレタンコーティングや当社も採用している環境対応型の水性ウレタンコーティングが適しています。
※ここでいう水性ウレタンコーティングは環境対応のため最新の技術で無溶剤化されたウレタン塗料を使用したコーティングのことです。一部の水性ウレタンコーティングでは一般消費者向けの強度の低い塗料が使用されていますので、ご注意ください。
さらにいうと、半艶(セミグロス)や艶消し(マット)のコーティングのほうが、下地素材の状態が仕上がりに反映されにくいです。当社のラインアップでいうとフロアプロテクトAPなら半艶も艶消しも選ぶことができますのでお奨めです。塗膜が肉厚な環境対応型の水性ウレタン塗料を使用するコーティングです。
UVウレタンコーティングはシンナーを含む油性タイプと、最近では水性タイプもあります。油性タイプは経年により溶剤の揮発が進むことで柔軟性が失われることが少なからずあります。床材の撓みに対応した柔軟性が損なわれると塗膜剥離のリスクが高まります。揮発する溶剤は無害とは言えませんので、紫外線硬化型のメリットを享受したい方は水性の方がよいと思います。もちろん光沢は艶消し系が、消耗したフローリングには適していることが多いです。
中古の住宅を購入し自分好みの仕様へリフォームして生活される方が増えているようです。既存のフローリングを生かしてお住まいになる場合は、ぜひ、フロアコーティングをご検討ください。ご相談はお気軽に!