ウレタンという言葉自体は耳にしたことはあると思います。ポリウレタンの略称であり要は樹脂のことです。加える物質や成型方法により様々な形に変化します。たとえば発泡剤を加えるとウレタンフォームとなり、ソファのクッションなどに利用されます。

ウレタン塗料は以前からフロアコーティングではよく用いられる塗料です。耳慣れた「ウレタン」という言葉ゆえ新鮮味はないかもしれませんが、じつは最近もっとも進化している塗料種類です。

この記事では水系ウレタンコーティングという水をベースに微量の有機溶剤を含む塗料を使用する水系ウレタンコートについて解説します。フロアコーティング選びに困っている方はぜひ参考にしてください。

水系ウレタンコーティングの性能評価

各項目を5段階評価で表しています。

総合評価・・・・・・ ★★★★☆(平均4.2点)

どんなご家庭に合うか

  • やんちゃ盛りのお子様がいる
  • 性能と安全性のバランスのよいものがほしい
  • 入居中マイホームにフロアコーティングしたい

概要

水系塗料を使用するから水系ウレタンコートなのですが、他に水性ウレタンコートというフロアコーティングもあり紛らわしいです。広義でいうと水系も水性の一種と言えなくはありません。実際に海外ではwater-base-paintつまり水性塗料として販売されています。

おそらく最初に水系という名称を使い出したのは日本の塗料メーカーじゃないかと思います。水性ウレタンではワックスのようなイメージを与えるからだと推測します。

水系塗料というと水に溶けるような感じがします。油性塗料と比べて強度が弱いのではないかと懸念される方いるかもしれません。

実際には水系塗料といっても塗布後、硬化すると塗膜として残る成分は油性塗料と変わりありません。なぜなら水や有機溶剤は、それぞれ蒸発したり、揮発したりしてなくなるからです。塗膜を形成する樹脂については水や有機溶剤など基材が違っても同じです。

すでに水系塗料はその安全性と性能が評価され建築物や自動車などにも使用されています。そのことから、ポテンシャルとして決して性能が劣るものではないことがわかります。

水系フロアコーティングは微量の有機溶剤を含むとはいえ水ベースの塗料です。UVフロアコーティング、シリコンコーティング、ガラスコーティングのような油性塗料を使用したものと比較して施工後の臭いが極めて少ないです。

塗布後、歩ける状態になるまで通常1時間~2時間と比較的短時間で硬化しますので入居中の住居へのフロアコーティングにも適しています。

床保護効果

(傷・磨耗の防止効果)・・・・・・ ★★★★☆

シリコーン系のガラスコーティングやシリコンコーティングとの比較では塗膜硬度がやや低い。しかし、床の傷や磨耗を保護する効果はフロアコーティングならではの性能がある。

(経年劣化の抑制)・・・・・・・ ★★★★☆

日射や乾湿によるフローリングの劣化を抑制する効果については優れた性能を発揮する。すでに劣化しているフローリングへの対応度も高い。

汚れ防止効果

(マジックなど)・・・・・・ ★★★☆☆

色素は粒子が細かく染みになりやすいがフローリングに染みがつくのを抑制する効果がある。しかし水系ウレタンコーティングの塗膜上には染みがついてしまう可能性が高い。

(黒ずみ)・・・・・・ ★★★★☆

フローリングは手垢、皮脂、油膜などで黒ずんでくるが汚れ落としが簡単になる。

耐久性

(寿命)・・・・・・ ★★★★☆

少しずつは傷つき・磨耗するが長期間に渡り床を保護し続ける。目安としては子供2人の4人家族で10年前後だろう。

美観

(艶感・質感)・・・・・・ ★★★★☆

好みが左右するがフロアコーティングのなかでは標準的な艶感と質感だ。

滑り防止効果

(足元のグリップ感)・・・・・・ ★★★★☆

柔軟な塗膜のほうが滑り防止効果につながりやすい。水系ウレタンコーティングでは優れたグリップ感で滑りを抑制する。

安全性

(臭気)・・・・・・ ★★★★★

フロアコーティングに使用される塗料はホルムアルデヒドにおいてはF☆☆☆☆(エフフォースター)の認定を受けているものがほとんどだ。建築基準法において無制限に使用してよいというお墨付きを得ている塗料ということだ。ただホルムアルデヒド以外の揮発性化学物質に関しては正直なところわからない。臭気はほぼ無臭だ。シンナーのような揮発性の刺激臭まったくない。

床材との相性

(突き板フローリング)・・・・・・ ★★★★★

密着性がよく推奨できる。

(シートフローリング)・・・・・・ ★★★★★

ややデリケートな床材だがほぼ問題なく密着する。

(無垢|塗膜性仕上げフローリング)・・・・・・ ★★★★★

密着性がよく推奨できる。

再施工性

(リコート)・・・・・・ ★★★★☆

剥離剤により水系ウレタンコーティング塗膜を溶解して除去することはやや難しい。重ね塗りすることは可能だ。

工事価格

(価格)・・・・・・ ★★★★☆

価格帯はフロアコーティングのなかでは中間に位置する。

まとめ

水系フロアコーティングは塗膜硬度を測る鉛筆硬度測定を行うと2H前後となりガラスコーティングの8H前後に比べずいぶん低い数字がでます。

ところが2Hが8Hの4分の1だからといって4倍も傷付いたり、磨耗したりするわけではありません。実際のところはそれほど大きな違いは感じられません。そもそも現場で施工するフロアコーティングですから必ずしも試験結果と同様の違いがでているとは限らないのです。

日本以外の国では木床のコーティングというと水系ウレタン塗料を用いるのが一般的です。安全基準が日本よりも厳しい国が多いといった事情もあるかもしれませんが、それだけ品質に定評があるということです。

水系ウレタンコーティングのメリットとしては古い床への適正が良いということがあります。多少痛んだフローリングでもしっかりと塗膜形成するのです。

臭いもほぼ無臭で歩けるまでの硬化時間も短いということは新築物件だけではなく築年数の経った住居への施工もお勧めできます。

安全性がトップレベルな反面、性能と価格が中位というのが水系フロアコーティングの客観的な評価となりますが、実際は侮れない性能も持ち合わせたフロアコーティングです。